2023.08.20 04:24(24)囲碁将棋と時間 囲碁も将棋も、うまく打ち、うまく指すには、考えなければならない。ただ、私の場合は、いくら考えても好い手が思い浮かばないので、自分の感覚と速断に基づいてエイヤーと着手し、多くの場合それが想定外の事態をもたらして、敗局への道をたどる。実戦では、相手も間違えるから、最善手からほど遠い悪手の応酬となり、そんな競合いの結果、運がよい方が勝つ。もちろん強い人は悪手を指す確率がやや低く、私のようによく負ける者は、その確率がかなり高いということはある。 私は、仲間の中でも早打ち、早指しである。大会ともなって、3名から5名のチーム同士の対戦となると、我がチーム内では、私が最も早く終局することが多い。たまに時間を使うこともあるが、ヨミを入れるという状態にはほど遠い。そも...
2023.08.01 13:24(23)囲碁と歌舞伎[3]祇園祭礼信仰記 碁立 前二回に続いて、歌舞伎と囲碁の話。今回は「祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれい・しんこうき)」の「金閣寺」の場である。この演目における囲碁の役割はかなり大きく、「碁立」と名付けられた場面まである。この芝居は、後に豊臣秀吉となる木下藤吉郎が戦国末期の梟雄松永弾正久秀を相手に活躍する。碁に関係するあらすじは次のとおりである。 天下を狙う松永大膳(まつながだいぜん・歴史上の松永弾正)は、桜満開の金閣寺に陣取り、将軍の母慶寿院をその楼上に押し込めて、画聖雪舟の孫雪姫達に龍の絵を描かせ、姫を自分のものにしようと企みつつ、弟の鬼藤太と碁を打っている。そこに現われたのは此下東吉(このしたとうきち)で史実の木下藤吉郎。小田春永(織田信長)の家来だったが、主君を替えて大膳に...