2022.06.26 05:32(3)碁盤と将棋盤 子供の頃、私の小松の家には、将棋盤はあったが、碁盤はなかった。祖父は、碁や将棋が好きでなく、勝負事にのめり込むなといつも言っていた。碁盤は私に良くないと思って始末したけれども、将棋盤はそれを忘れたのかもしれない。しかし、近所の友達の家には碁盤があったので、祖父の言葉もものかは、私は小中学生の頃から碁を打ち、将棋を指していた。かくして七十年も将棋や碁に親しみながら、一向に技倆が向上しないことには、驚くほかはない。祖父の言葉が胸の奥底に沈潜していて、上達することについて体内で何らかの抑制が働くのではないかとすら思う。 そんなことを思いながら、碁盤や将棋盤をじっくり見ていると、いかなる理由で、現在の大きさになったのか考えさせられる。 将棋は、かつて大将棋...
2022.06.20 05:32(2)竜星と銀河 私の日曜日。約束のない日は、NHKの将棋と囲碁で過ごす。最近、囲碁将棋とも画面上部にAIによる双方の勝率が出るので、一段と面白くなった。ここでの勝率は、両対局者がそれから最善を尽くした場合でのことである。プロ棋士でも、常に最善手を選べるわけではなく、しかも、対局者当人は、その勝率自体を知らされていないから、懸命にヨミを尽くして、ベストの手を探し出そうとする。その姿が美しい。 ケーブルテレビの「囲碁将棋チャンネル」もよく見る。ここのプロ棋士のトーナメント戦は、囲碁が「竜星戦」、将棋が「銀河戦」。両棋戦は一般棋戦ではあるが、優勝者は、タイトル戦のように「竜星」、「銀河」と呼ばれる。 囲碁の七大タイトル「棋聖」「名人」「本因坊」「王座」「天元」「碁聖」「十...
2022.06.18 05:31(1)盤外と番外 今年の前半、金沢では、将棋と囲碁のタイトル戦が3回も行われた。2月の北國新聞会館での将棋棋王戦5番勝負の第2局目、4月の滝亭での将棋名人戦7番勝負の第2局目、5月の尾山神社金渓閣での囲碁本因坊戦7番勝負の開幕戦第1局目である。囲碁の碁聖戦と将棋の棋王戦は北國新聞社のはからいで、金沢対局が頻繁に行われ、これは石川県や北陸地方の囲碁将棋ファンにとってとても有り難いことだが、今年は、それに将棋名人戦と囲碁本因坊戦が加わったのである。これは、金沢で「カルチャーセンター石心」を主宰する佃優子さんの懸命の努力に負うところが極めて大きいが、私は、佃さんに極くささやかにお手伝いした余慶で、将棋囲碁タイトル戦の金沢対局の雰囲気にたっぷり浸ることができた。その顛末は、新...