2022.08.26 08:58(7)囲碁と将棋とグーゴルと 去年2月11日、日本経済新聞の囲碁欄を見て驚いた。掲載されている棋譜の囲碁盤面が殆ど埋まっている。趙治勲名誉名人対関航太郎三段の王座戦予選特選譜の総譜で趙名誉名人3目半勝ちの一局だったが、手数が395手に達している。碁盤の広さは縦19路横19路で361目の地点があるが、それを遙かに超える長手数である。碁は相手の石を囲むとそれを盤面から取り上げるし、コウという手段があって、何度も取り返し合うことがあるから、同じ地点に二度も三度も打てる。よって、総手数が盤上の地点の数361を超えることは理論上あり得るし、過去にもそんな対局はあったが、それにしても、私自身は盤面がこのように埋まった総譜を見るのは初めてなので、いささかの感慨を覚えた。 囲碁や将棋の「場合の数...
2022.08.26 08:57(6)王将と玉将 将棋の駒は「王」のほか、「飛車」「角行」「金将」「銀将」「桂馬」「香車」「歩兵」があって、合計8種ある。敵陣に出入りすると働きの違う駒になることがあるが、これを別とすれば、元々は8種類である。9路×9路の盤上で戦われる将棋の駒は、9種類であるほうが美しいと、先崎学九段は書いておられる。そして私は、実は9種類と言ってよいのではないかと思っている。その根拠は、敵味方の「飛車」から「歩兵」に至る7種に加えて、「王」をよく見ると、「王将」と書かれた駒と「玉将」と書かれた駒が一個ずつあり、敵味方で字が違い、これを2種とみなしうることにある。そして、王将と玉将を書き分けることには意味があると思う。将棋のルールでは、捕獲した敵の駒は、駒台の上に乗せて、やがて自分の...
2022.08.26 08:55(5)『左から』か『右から』か 新聞紙上に並ぶ囲碁欄と将棋欄を見ると気になることがある。それは囲碁も将棋も、先手から見た形で盤が表示されているのは同じであるが、数字による地点表示の仕方が違うことである。縦横19路の囲碁では、縦は[上から下]、横は[左から右]の順に数字が並ぶのに対して、9マス×9マスの将棋では、縦の[上から下]は囲碁と同じながら、横は[右から左]と囲碁と逆になっているのである。これはいかなる理由なのだろうか。 そもそも、一局の記録をつけるという点で、囲碁と将棋はかなり違う。将棋は、駒が動くゲームだから、その記録のためには、「地点Aから地点Bへ」などと、出発点と到達点の明示が不可欠である。それに対して囲碁は、何も置いてない盤の上に順次石を置いていくから、石の置かれた場...
2022.08.26 08:52(4)ディラックの碁 前回触れたデイラックの碁について追述したい。先に書いたとおり、囲碁は、碁盤の大きさを変えても、現行のルールをそのまま適用して楽しめるところに大きな特徴があるが、碁盤には、当然ながら辺(ヘン)と隅(スミ)がある。その辺と隅をなくしたのが、ノーベル物理学賞を受けて斯界では極めて有名なディラック先生だ。前回も述べたように、辺をなくするには、碁盤をゴムのように曲げやすいものと心得て、左の辺と右の辺を繋げばよいし、そうしてできた円筒型碁盤の両方の端をくっつければ、上辺と下辺もなくなり、同時に隅もなくなる。それが、ドーナツ型、幾何学で言うトーラスの形である。その上で碁を打つのであるが、これも既述のとおり、ドーナツの形状をした立体の上でなければ打てないわけではない...