2025.04.20 07:29 私は、「技術経営士会囲碁会」というグループのメンバーである。「技術経営士」とは、一般社団法人技術同友会が創った私的資格であり、民間企業や官庁などで長年技術関係の経営経験を積んだベテラン技術者が、その経験を若い方々にお伝えして、企業経営、学校教育、社会活動等のお役に立ちたいという目的で創られた。現在200人ほどいる技術経営士のほとんどが会員となって「技術経営士の会」という団体を運営しているが、その中で、囲碁が大好きな10人あまりで結成したのが、この囲碁会である。はじめは学士会館に集まって対面で…
2025.03.23 10:22 日本将棋連盟と北國新聞社(共同通信社)主催の将棋棋王戦コナミグループ杯挑戦手合いは、タイトル保持者藤井聡太棋王に、増田康宏八段が挑戦する顔合わせとなった。藤井棋王先勝の後を受けた第二局が2月22日、金沢の北國新聞会館で指されて藤井棋王が連勝したが、私は、幸運にもその前夜祭に参加することができた。その晩は、100名を越すファンや大勢の関係者が会場の金沢ニューグランドホテルに詰めかけたが、その中にかなりの数の女性の方々がおられて、いよいよ金沢でも、将棋は女性に普及してきたかの感を深くした。 しか…
2025.02.23 13:07 かつて金沢での名人戦の後に、夜遅い食事をお相伴させて頂いた前の名人で永世竜王と永世棋王の資格保持者渡辺明九段の動静がニュースになっている。膝の具合が悪くて、対局途中での投了、あるいは不戦敗ということになったと報じられた。また、漫画家の伊奈めぐみさんと昨年の「いい夫婦の日」に同居離婚されたとの報道もあった。詳細は分からないが、九段が引き続き素晴しい将棋を指し続けて、将棋界を牽引し続けられることを祈るのみである。 気になるのは、膝の具合だ。実際、長時間の和室での将棋対局で、長時間座り続けるのは容…
2025.01.21 08:12 囲碁将棋人口は減少を続けているとされているが、新年を迎えて、今年はぜひ、囲碁と将棋が多くの方々の楽しめる娯楽文化であると再認識される年であってほしいと念願している。 ところが、この1月7日、スポーツニッポン社と毎日新聞社が王将戦の主催を降りて、特別協力の形になると新聞やネットで報じられた。誠に残念である。 名人戦、王将戦、本因坊戦など囲碁や将棋のプロ棋戦の多くは、新聞社と日本棋院、関西棋院、日本将棋連盟の主催によって行われてきて、多くのファンを獲得し、今日に至っている。毎日新聞社などの各新聞…
2024.12.13 03:40 コロナ以来、オンライン会議がすっかり定着した。私が関係している公益財団法人の理事会や評議員会などは、オンライン出席が正規の出席とみなされるので、とてもありがたい。新法人制度が発足した当初、理事会と評議員会は本人出席が厳密に求められていたので、定款の定める定足数確保に苦労した話を聞いたことがあったが、オンラインは状況を一変した。 囲碁将棋もオンラインによる対局がかなり広く行われるようになった。これまでも囲碁将棋のソフトがどんどん開発されて、一人でソフトを相手にパソコンに向かって勉強かたがた対局…
2024.11.25 12:24 前回論じたように、囲碁将棋などは、「二人零和有限確定完全情報ゲーム」といわれるが、これはいかなることを意味するのであろうか。また、囲碁将棋は、厳密にそれに当てはまるのだろうか。前回書いたように若干の議論はありうる。 まず「二人」であるが、これは言うまでも無く、二人で勝ち負けを競うのが囲碁将棋であるから、これについては疑義が発生するところはない。 次に「零和」については、その二人が対局すれば、勝つか負けるか引き分けかで、一人が勝てばもう一人は負ける。プラスマイナスがぴったりバランスするという意…
2024.10.28 01:42 今年のノーベル賞では、何と言っても、日本原水爆被害者団体協議会の平和賞受賞が特筆されるが、物理学賞、化学賞ともAI関係の研究者技術者が受賞対象となったことも大きな注目を浴びた。 今やAIは、我々の生活に大きな役割を果たしている。物理学賞、化学賞の両方で、AI開発が脚光を浴びたのは、まさに時代の反映と言える。 物理学賞は、AIの中核ともされる機械学習の基礎を確立して、「ディープ・ラーニング」等の新たなモデルの形成につなげた米国プリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授とカナダのトロント大学…
2024.09.23 02:00 「碁盤斬り」の映画では、「石の下」という囲碁の手筋が重要な役割を果たしている。このくだりは、私の知る限り、落語「柳田格之進」の中では語られることがないので、映画化の際に新たに付け加えられたものかと思われる。誰が「石の下」をこの映画に用いることを考えたのか。碁の内容を指導された井山王座碁聖十段か関山九段か藤沢女流三冠か、あるいは、出演者かスタッフか。プロでないならば相当の碁好きの方の発案と思われる。ともかく、主人公と敵役の間で緊迫する囲碁勝負が行われ、「石の下」の筋が現れた場面では、私は思わず…
2024.08.25 05:48 前々回に本欄に書いた「碁盤斬り」について、金沢の佃優子さんに加え、東京で碁を教えて頂いている小林千寿さんからも、この映画を観るように奨められ、今月4日の日曜日の朝、新宿伊勢丹向いの映画館キノシネマに出かけた。 私が映画館に行くのは久しぶりで、前回を思い出せないほどだ。映画館といえば、小学生の時、学校から行った集団の映画鑑賞が懐かしい。最初に見たのは天然色のソ連映画「石の花」。ストーリーはさっぱり分からなかった。学校に戻り先生から主人公の名前を尋ねられて答えられず、ダニールシカと聞いて、そんな…
2024.07.23 12:38 6月20日将棋の八大タイトル戦のひとつ叡王戦の挑戦手合5番勝負の第5局が藤井叡王と伊藤挑戦者の間で行われた。結果は挑戦者の勝利。かくして、伊藤匠七段が叡王位を奪取した。藤井八冠は七冠となった。この挑戦手合は、加賀市の片山津温泉で第2局が戦われ、先々月この欄でご報告したように、私は現地で大盤解説会に参加したこともあって、一番ごとにチェックを続けた。この最終局は、石川県から東京へ戻る北陸新幹線車内でスマホを覗いてAbemaTVをフォローしたが、将棋の内容はよく理解できなかった。しかし、結果ははっ…
2024.06.27 11:49 先日、金沢の泉野町にあるカルチャースクール「石心」に佃優子さんを訪ねた。相変わらず子供達は将棋に、年配者は囲碁に夢中であったが、その折、佃さんから映画「碁盤斬り」を見るように勧められた。草彅剛主演のとても面白い映画で、佃さんとも懇意の井山裕太王座・碁聖・十段や女流の藤沢里菜女流名人女流本因坊が、碁の打ち方を指導され、盤上に並べる碁をいかなるものにするかを苦心しつつ、映像にも顔を出しておられるということだった。「碁盤斬り」の言葉から、「柳田格之進」という落語に、そんなストーリーがあるのではない…
2024.05.21 13:42 将棋のタイトル戦叡王戦は、新しい棋戦である。いくつかのタイトル戦同様、トーナメント戦の優勝者がタイトル保持者に挑戦する。挑戦手合は5番勝負で一日制。現在のタイトル保持者すなわち叡王は藤井八冠で、今年は藤井八冠と同年齢の伊藤匠七段が挑戦している。 叡王戦は、プロ棋士とコンピューター将棋ソフトウェアが対戦する将棋電王戦に淵源を持ち、ドワンゴから不二家に主催が移って開催されている棋戦で、2015年創設、2017年にタイトル戦となった。タイトルへの挑戦手合は、毎年、名人戦と重なるようにして行われ、当…